しんまいだより  2008年11月号  (2008.12.1UP)



いつもお米をお買い上げいただきありがとうございます。

 今はもう11月に入りまして一年もあっという間に過ぎようとしております。今の田んぼはどの田んぼも寒々として、秋収穫前のあの一面の黄金の稔りはつい最近だったとはちょっと思われないような光景です。

        

 刈り取った際の稲わらを鋤き込むために10月に入ってからトラクターで耕起をしました。そして春を待つのですが、通常であれば12月上旬に雪が降り翌年の4月中旬まで雪の中、その間田んぼは冬眠状態です。4月に入りますと農作業もそれぞれ順々に開始します。

 最初は種籾の脱芒を行います。これはあきたこまち・ささにしきの籾にあるひげの様な5ミリ前後のものを取り除く作業です。機械で行うものですが調整に気を配り良質な種籾に仕上げます。このひげをきっちり取り除かないと種蒔き時に発芽した芽とひげが絡み合って育苗箱の面が均一でなくなってしまいます。


 その後、種籾の塩水選を行います。これはもっとも良質な種籾を得るための作業で、大きな容器に水・塩を入れ卵が浮くような割合にして、種籾を入れよくかき混ぜて容器の底に沈む種と水面に浮く種とを分別するものです。この作業は丸一日かかります。家の周りにはまだ雪がある時期ですので肌寒く、塩水に素手ですので格別に冷たく感じます。


種籾を袋に入れています

 次に底に沈んだ良質の種籾を網状の専用の袋に小分けし、減農薬米用、無農薬米用と別々の容器に入れ12日間の浸漬を行います。この別々の容器に入れた時点で種籾の雑菌消毒を行います。
 減農薬米の種籾にはヘルシード水和剤を1000倍で48時間、無農薬米の種籾には微生物農薬、水稲種子伝染性病害防除剤水和剤エコホープドライを200倍で48時間行い、この間に1回各袋のゆすり、上下の反転を行います。48時間にになった時点で各袋を水洗いしそのまま浸漬を続けますが、2〜3日毎に水の交換をします。よく袋をゆすり上下の反転をします。この作業は種籾に充分水分を含ませて発芽しやすくさせるために行うものです。これに使用する水は地下水です。自家用飲料水です。

 この種籾は前年無農薬米の栽培田より自家採集したもので、自然乾燥させたものです。12日間の浸漬を終えた種籾をハト胸、すなわち発芽させるために容器から取り出し水をすっかり落としてから各袋ごと33度程の温水に浸してこれも2つの容器に重ね積みして容器ごとシートで覆います。私の場合、ハト胸から1ミリ弱の芽が出るまで2日はかかります。
 籾の芽が出過ぎないように時々監視をしてその間に一度、30度の温水を、重ねた袋の上から容器の下の排水口に温かい湯が流れ出るぐらいかけ流しをします。この作業は育苗箱に種を蒔いてビニールハウスに搬入し覆いをして3〜4日後に箱面から一斉に芽が出るのですが、その芽を出易くするためにするものです。育苗箱に前もって床土を入れて準備していたものに水を散水し種が蒔かれ、その上に覆土をし軽トラックに積み重ねビニールハウスに搬入し整然と並べられます。育苗箱に前もって床土を入れるのも、又散水、種蒔き、覆土までは機械で自動的に流れ作業で進行します。



 今年の種蒔きは4月20日、21日の2日間で、私達三人とシルバー人材センターより3人の手伝いを得てビニールハウス3棟に搬入し終了することが出来ました。そして3〜4日後に一斉に芽が出ることを確信しながら、一段落したところでこれから毎日朝夕の散水作業等、育苗の管理が田植えの始まる5月20日頃まで続きます。

 この育苗管理の合間、各田んぼの用水路、排水路に昨年の流入による泥、雑草等堆積物の清掃作業があります。これは主流水路部分とその他支流部分とに分かれますが、主流水路の泥上げ作業には広範囲の田んぼの関係者が集合します。主流水路別に違いがありますが、大体集合人数は15人から40人位です。各水路別に分散して作業にあたり、早朝から始め午前中に終了します。時には午後にも亘ることがあります。

 支流の泥上げ作業には関係人数も少なく、3〜4人の作業者、又は自分一人の作業もあります。この作業は春、田んぼの耕起前に行われ延べ日数10日位要します。作業員は高齢者が多く、作業中の話題も昔の作業風景から今年のお米の価格の心配、肥料の値上がり等色々話し合われます。現に来年の肥料の予約価格は190%、倍近くなったものもあります。この清掃作業はこの地域の田んぼの関係者の集まりとして、作業はかなりきついものですが連携を深める行事として唯一の機会だと思っています。

 清掃作業と並行して田植え前の準備として田んぼに肥料を散布しその後トラクターによる耕起を行います。肥料散布は私の場合、秋田県認証の特別栽培米ですので有機質肥料、醗酵鶏糞が主体です。無農薬無化学肥料米には鶏糞一袋15キロ入りを10アール当り8袋〜10袋散布します。減農薬減化学肥料米には化成肥料10アール当り20キロ入り一袋と醗酵鶏糞15キロ入りを8袋散布します。有機質醗酵鶏糞は、化学的に合成された物質を添加していないという、製造元の製品内容証明書と財団法人日本肥糧検定協会の証明書をいただいている製品です。

 肥料は晴天の日にトラクター後部に回転式の肥料散布機を設置し、田んぼを走り回り散布します。この後、耕起をして5月7日頃清掃した用水路に水が放流されてきます。この水を順々に各田んぼに浸み込ませトラクターで攪拌してドロドロ状にして平らにならします。




 今年の田植えは5月の18日から初め、この日は日曜日のため、美穂子の3人の子供と美穂子夫幸一とシルバー人材センターからの応援2人との作業で、天気もよく賑やかに作業が進みました。子供たちの賑やかさはこの日だけでしたが貴重な体験をしたと思います。

ハウスの中では苗も立派に育っていても田んぼに植えられるとそよ風に揺れて弱々しく感じられましたが、5月26日に田植えは終了することが出来ました。

この一粒一粒の籾に平等に生命が宿っていて、それが永遠に引き継がれて行く、その手助けを私達がしているつもりです。それを食して人間も未来に生き残っていく、お米・大豆など穀物は収穫物、すなわちその種の部分を食べているのです。私たちはともすればそのことを忘れがちになり、いやいつも忘れているように思います。
改めて種籾の生命に感謝せずにはいられません。


今年の山行き

今回は7月9日の晴天に恵まれた駒ケ岳登山の紹介をしたいと思います。

 朝、シャトルバスで駒ケ岳八合目に到着したのが7時30分、登山客も前のバスで降り立った人達、また今のバスの人達と40人位いたと思います。朝五時前までは乗り入れ出来る自家用車も40台位いて、あんまり大きくない駐車場はバス2台も乗り入れるともう混雑しているようでした。

 ここには登山案内所、売店もあり、外には女目岳からのホースで引いている湧き水があり、ここで補給をして駒ケ岳へ第一歩を踏み出す、そんな場所でもあります。
 一般的にはこの水場横の広い登山道を給水管の脇を通って上って行くことになります。この水場よりまもなく左側の登山道に2つのコースがあり、手前は笹森山から湯森山に至るコースがありますが、今回は八合目から焼森(小焼砂)に行き、横岳に向かうコースを取りました。

 夏盛りの日差しも、早池峰山の上空もだいぶ高くなり登り始め笹藪を掻き分けるように岩石のごつごつした所と樹木の根を踏みつける登山靴の感触に、大げさですが心も躍るようになり楽しい気分になりました。この登山道は、通る人も少なくさびしい限りですが、早い時期ではシラネアオイ、ショウジョウバカマ、今この時期はシャクナゲの開花期でもあります。今日はそれを期待してこのコースを選んだわけですが、まさに今日は満開のシャクナゲに出会うことが出来ました。



純白のもの、少しピンクの混じったものなどここ20メートル位の両脇に登山道をふさぐように咲いているのです。先客が1人カメラを覗いておりましたが、私も何枚かシャッターを切りました。感動も冷めやらぬまま先客に別れを告げて高度を上げ、ロープの柵に沿って焼森に到着しました。ここは昔コマクサの群生地だったと思います。今は株も小さく西風にそよそよとゆれ、いつのまにかさびしげになってしまいました。
ここの頂上からは北の方に岩手山、東に早池峰山、西に森吉岳、目の前にでんとそびえる男岳・女目岳の主峰が望まれるこの地点は駒ヶ岳・乳頭山間の縦走路にもなっており、年配のカップル、単独の男女等が何人か小休止をしておりました。焼森(小焼砂)は頂上も含めて広く大きな丘になっており火山砂礫丘で草も生えないような不毛の地です。ガスの発生時の目標・ケルンも立ち並び、いつもここを通る時は心のうきうきするような気持ちになる所です。
ここから横岳(1583m)に到着、8時23分ここは岩手県側からの大焼砂、横長根コースとアミダ池からのコース、男岳からの尾根通しのアルペン気分のルートの分岐点になっています。ここには登山客も大勢の賑わいで岩手県側からが多いように見受けられました。私はこれから岩手県側に下山をしながらコマクサに体面したく歩行を進めてまもなく、その群生に逢うことが出来ました。まず満開と言ってもよい程に一斉に咲き乱れてその美しさは息を飲む思いでした。カメラ覗きも多くみんな満足して言葉もなく、行きかう人の挨拶もそこそこにじっと座り込んで見つめている人もおりました。ここは登りの場合は非常にきつい所です。焼砂のためざらざらして登山靴も後ずさりしながらの急登でありちょっと堪えるところです。


 さっきまでの広大なコマクサとの対面の興奮も冷めやらぬまま、大焼砂を下りきった所から分岐を右に折れて金十郎長根に向かうことにしました。このコースは前半木道になっており、ほどなく小さな池のほとりにたどり着きます。ここは男岳の荒々しい雄姿、その尾根すじの岩稜の真下になり、左手には昭和30年代に噴火した女岳の当時の溶岩の黒々とした岩肌が見えます。小さな池を前にして足元から広がるチングルマの大群落、高さ5センチから10センチで白い花びらで真ん中の雌しべは黄色で、あまりにも広大に咲いていてまたも息を飲んでしまいました。池のほとりにはチングルマに満足して寝転んだり、食事をしたりしている人が、みんな思い思いにこの晴天の下に楽しんでいるようでした。



三脚、カメラとも高級な方々4人が何やら話しこんでいて、やはりここは撮影スポットなんだと思いつつ、チングルマの感動を胸に秘めて歩き出しました。まもなくアミダ池に至る急登、次に男岳の稜線への急登を見送り一路金十郎尾根に向かいます。
尾根に取り付いて左の中生保内口から尾根すじを見ながら右手の男岳への急登を一気に詰めました。男岳頂上着(1623m)10時10分、頂上から眼下に田沢湖、遠くに鳥海山、アミダ池を望みながら岩手山、これも絶景、一旦アミダ池に下り、女目岳へ向かい、女目岳着(1637m)11時5分、ここで昼食をとることにしました。
 男岳には多く登山客が押しかけて、女目岳にはその半分も登らないような気がしますが、私はなるべく女目岳にも登るようにしています。男岳・女目岳には30何年も前になりますが、3人の子供と母親と、又父とも登山したことがあり今でもその想い出が強く残っているからです。
妻の作った「おにぎり」を食べながら卵焼きも食べて10分ほどで昼食も終わり少し風も出てきたところでアミダ池に下り男岳への登りから左側への尾根をたどり、このコースは左にアミダ池、右手にさっきの小さな池や登山道を見渡しながら横岳に到着しました。横岳からは今日登ってきたコースを逆にたどり、小焼砂、焼森から八合目に向かいました。また途中のシャクナゲの群生に対面したくて午前中の感動を再びとの思いを強くし、またここを通ったのです。今は誰もいなく全く自分ひとりでカメラを覗いたり花に顔を近づけたりしばらくの時間を過ごしてしまいました。


 今日朝からの晴天を山の神様に感謝しながらオーパス温泉付き駐車場(バス停)に着き、温泉に入り自家用車で帰途に着きました。夕食後、妻に今日デジカメで撮った写真をテレビに写しながら話をしました。

 駒ケ岳・鳥海山の主な高山植物はホームページに載せておりますのでどうぞご覧下さい。
 今年は駒ヶ岳中心の登山3回、鳥海山に5回登山することが出来ました。
 北アルプス槍・穂高方面には今年は挑戦しませんでした。


今年の収穫は

 今年は稲の生育も順調に進み、好天の日も多くあったことに起因すると思いますが予想以上に稲丈が伸びすぎた感じもありました。このままだと台風が来ると倒伏する稲が多く出るだろうと心配しておりましたが、秋刈り取りまでに台風は一度も上陸してきませんでした。豪雨は一時9月の初めにありましたがまずは倒伏した田んぼは全体のほんの2%位ではなかったかと思っております。

 今年は県全体でも豊作で平年より大豊作であったそうです。私の家でも平年よりは収量もありました。大体5%から10%位だと思いますが害虫の被害が思いの他多く、特にカメムシの発生が多かったようです。減農薬・無農薬栽培のため、害虫の防除はほとんどしないに等しい程ですので何としても毎年少量ですが見受けられます。どうか皆さんご了承をお願いしたいと思います。
 昨年以前より玄米に籾が混ざっているとの一部のご指摘がありましたが、今年は作業最初より最善の注意を払い、今年の玄米には全くと言ってもいい位の籾の混入もなく最上級のお米をお届け出来るものと確信しております。

 今年も県農業公社の認証をいただいており減農薬米・無農薬米にそれぞれシールを添付して皆さんにお届けしております。また、これは県知事の認定ですがエコファーマーのシールも同時に添付しております。


 終わりに、栽培上のことになりますが有機肥料、私の場合醗酵鶏糞ですが化学肥料の使用を抑えた栽培と農薬も極力見合わせる栽培に全力を尽くして頑張って行きたいと思っております。

 これからもどうぞよろしくお願い致します。

今思っていること
 


最近、食料品の産地偽装・汚染・毒物の検出等、自国の自給率の低下をよそに輸入によるそのしわ寄せが一気に噴出した感があります。
 これは金儲け主義だけが先行し、一家団欒の食卓に安心な食料品を提供しなければという大事な使命を忘れているからだと思います。一部の心無い人達が全国の消費者を不安にさせる、このような行為は絶対に許されません。私たちの食生活がこのようなことで特に、子供の健康と将来に憂いを感じるのは私だけではないと思います。



 つかの間の晩秋の薄日に街路樹、イチョウの葉が舞うこの季節、もう冬の到来です。
寒くなりますのでどうぞお体に気をつけてお過ごしくださるようお祈り申し上げます。



 平成20年11月17日
      柳田 武男 67歳




最後までお読みいただきありがとうございました。

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