”大曲中学校”
  取材のため大曲中学校を訪れたのは午後5時ごろだった。マーチングバンドの部員
  たちが校庭で打楽器や管楽器を手にしながら軽快な行進曲を演奏しながら行進の練
  習をしていた。夕方とは言えまだ暑い日差しが生徒たちを照らし、真っ白な夏の制
  服はキラキラと輝いていた。
   
  大曲中学校は昭和38年に大曲と花館中学校が統合し、その翌年にはさらに四ツ屋
  中学校も統合して誕生した。そして大曲出身の詩人・本郷隆氏による詩と同じく同
  市在住で作曲家の佐藤長太郎氏(いずれも故人)の作曲と言う名コンビによって校
  歌では異例とも言える「交響詩的」な「よく生きよ若人よ」が制定された。統合と
   言っても当初はそれぞれの旧校舎で授業が進められる変則的なもので40年に校舎
   が完成するまで2年間はそれぞれ南校舎、北校舎、東校舎として使った。合併当時
   は生徒数も2000人を超える県内トップのマンモス校として位置づけられていた。
   今の生徒数は847人。まさに昔日の感がある。それでも生徒数から言ったら県内
   でもトップクラスとなる。
   
  その後、校舎は老朽化によって平成6年度から8年度にかけて改築され、現在の校
  舎に生まれ代わった。大曲中学校がホームページを開設したのは今年5月3日だっ
  た。昨年、40台の新しいパソコンが導入されたのを機に生徒たちにもインター
   ネットに触れてもらいた、生徒たち自身が情報を発信するホームページにしたいと
   の思いを込めてのスタートだった。まだその実現までには道半ばのため、今は「M
   AIN」での「大曲仙北総合体育大会」の結果報告と「学校紹介」の和田文男校長
   のあいさつ、それに「月行事予定」「校舎案内図」「リンク集」の簡単なページに
   しかなってない。
   
  メディア担当の後藤先生は今年入学した1年生に「将来はゲタを預けたい」と期待
  する。今の1年生は小学校である程度、パソコンを習っているためパソコンを使っ
  ての活動にも入りやすいからだ。それに教科書だけから学ぶ学習でなく「総合的な
  学習」が1年生から新しいカリキュラムとして組まれたことから、「もっと知りた
  い大曲」をテーマに子どもたちは自分たちで課題を見つけてきては調べたり資料を
  集めている。
   
  例えば「大曲」と言う名前の由来や「浜町」と言った町名の由来。そして2年連続
  して「住み良さ日本一」になった大曲だが、そこに住んでいる者としてそれが実感
  できるか、さらにはゴミ処理場を訪れてゴミの問題を考えたり、卒業した大曲小学
  校の校庭にあった大きな石碑の意味は何かなども調べている。大曲という地名の由
  来はいま一つはっきりしないが、川もないのに「浜町」と名付けられたり「船場町」
   という名前の付いた理由は今の大人たちなら分かることだが、生徒たちには七不思
   議の一つだった。結局、調べたら「浜町」や「船場町」は昔の雄物川のそばだった
   り、その川が埋め立てられて新しい町が出来たことなどが分かった。
   
  こうして生徒たちが「総合的な学習」の時間に外に出ていって自分の生まれた土地
  を調べ、知ることは「将来、子どもたちがこの町から出ていってもまたこの町で暮
  らしてもきっといい思い出の宝となると思うんです」と後藤先生は言う。だから▽
  文化と歴史▽自然と環境▽福祉とボランティア▽伝統行事▽産業と町▽国際理解−
  の6つの課題で生徒たちは資料を探したり、大人たちに話を聞いたり、調べている。
   
  「それを秋ごろまでにまとめて生徒たちが生徒たちの視線で情報を発信し、どこか
  遠くの中学生がそのホームページを発見し、メールが来るようになったら面白みも
  倍加するのではないか」と後藤先生は期待する。インターネット。無数の情報が行
  き来する世界だけに野放しに生徒たちに開放するわけにはいかないが、かといって
  これを有効活用しないという手はない。そして大曲中学校の生徒たちが自身で情報
  を発信し、県内外の同年代の子どもたちと交流を深めるようになれたらインター
   ネットはもっと面白いものにもなるだろうと同校では見る。この秋までの更新が楽
   しみだ。
  

 


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