”柳田農園”
大曲市高関上郷字卯時田の「柳田農園」がホームページを立ち上げ、直販の
お客さんを確保しようとインターネットを始めたのは98年11月だった。農
園経営者の柳田武男さん(59)が、嫁いで同じ市内にいる娘さんの鈴木美穂
子さん(31)に「これからはインターネットの時代。米もホームページで
PRして売るようにしないと」とホームページ作りを依頼した。美穂子さんも
大賛成し、独学でパソコン操作を習得し、ホームページを立ち上げた。題して
「有機米 あきたこまち あきた柳田農園です」。
ページは有機無農薬米として栽培している「あきたこまち」と有機低農薬米
として栽培している「あきたこまち」の紹介と農園の自己紹介、そして4月に
アップした「おこめだより第6号」だけの簡単なものだが、美穂子さんは
「インターネットで結ばれたお客さんはまだほんの少しだが、コミュニケーション
を深めるためにももっと頑張りたい」と最近になってから題字下の文章だけは
出来るだけ毎日更新しようと努力している
10月2日のコメントでは「秋になり、朝晩は冷えるようになってきました。
皆さまお元気でお過ごしでしょうか。一時は、稲刈り機コンバインが田んぼの
あちこちにいて賑やかでしたが、すっかり刈取りも終わり、なんだかさびしい
田園風景です。早いものでもう10月。とんぼもずいぶん少なくなりました」
と書き込み、「大変お待たせいたしました。おいしい『有機米あきたこまち』
の新米ができあがりました!!。今年の稲の生育は、梅雨の影響が少なかった
のと、夏は連日暑い日が続いたので、とても順調でした。秋の刈取りも例年よ
り1週間ほど早まり、穂の登じゅく具合も良好です。豊作でしたよ」とうたい、
「皆さまからのご注文、心よりお待ちしております!!。今年は『有機低農薬
米ササニシキ』も例年になく豊作だったので、初めてこのホームページで販売
いたします!。(数量限定)価格は『有機低農薬米あきたこまち』と同じです。
(5キロ2750円+送料)」と温かい文体でお米の宣伝をしている。
柳田さんは以前は電気工事の仕事が中心だった。しかし、米づくりの面白さ
に取りつかれ、11年前から専業農家となった。自宅の田んぼが2.5ヘクター
ル、それに仲間の田んぼ1.2ヘクタールを引き受け、全部で3.7ヘクター
ルの田んぼを耕作している。柳田さんは「農業をやるなら第3者に米の販売を
任せるのではなく、『自分で作った米は自分で売る』。そういう経営をしたい」
と当初から思った。そのためには有機質肥料を使用し、農薬・化学肥料は一切
使用しない「田んぼにも優しく」「人間の健康を第一」に考えた米づくりをし
ようと決心。人体に「あんぜん」な米、田んぼにも「あんぜん」な米づくりを
モットーに「お米屋さんでは買えない、極上の有機無農薬米」の直販を手がけた。
当時は食管法によって自由に出回る米は「やみ米」扱いだったが、柳田さん
は自分の作った米にそんな暗いイメージを与えたくないと食糧事務所から「直販」
の許可をもらって米を販売すると言う方法を取ってきた。その食管法もなくなっ
て、今は米の栽培は「作る自由」と「売る自由」も与えられた。だからよりいっ
そう、田植えから秋の収穫まで徹底した管理の下に真心を込めたお米を生産し
たいと米づくりに情熱を注ぐ。
食管法の管理下の時は減反にも協力してきたが、この11年間の有機無農薬
米、有機低農薬米の「あきたこまち」と言うブランド名でこつこつとつかんだ
消費者との直販の取り引きで米は作った分は全部さばけるとの自信も得、今は
減反もせず3.7ヘクタールの田んぼ全部を活用して「あきたこまち」を85
%、ササニシキを15%作付けしている。
柳田さんの作る米の値段は有機無農薬米が10キロで7000円、有機低農
薬米なら5500円。今年、あきたこまちの値段は60キロ当たりで農家への
仮渡し金は昨年よりも1000円下がって1万4000円となった。柳田さん
の作る米は無農薬米なら自主流通米に比べて3倍の値段だ。「他の農家の人か
らは随分、高いなと言われるが、3〜4人の家族が米を作って1年間食ってい
ける値段で設定した。それに無農薬栽培、低農薬栽培にかかる管理の手間隙
(てまひま)を考えたらこの料金でないと労力が見舞われない」と自信を持っ
て話す。
柳田さんが抱える顧客は地元の人もあれば東京や関西と全国に広がる。一度、
柳田さんのお米を買い求めた人たちは「柳田さんのお米にめぐり合えた事に日々、
感謝しながらおいしく頂いております。生命のある限り柳田さんのお米を食べ
続けるつもりです」(東京都・小岩井マサエさん)と大ファンになってしまう。
柳田さんはそうした消費者とのつながりを大事にしたいと「おこめだより」を
発行したり、葉書でお米の予約をもらって年間契約で米を毎月5キロとか10
キロ、産地直送している。
そうした柳田さんが今、最も期待するのがホームページからのお客さんの飛
び込み注文だ。その数はまだ満足の行くものではないが、いずれ将来はインター
ネットを利用した消費者とのつながりの時代は必ず来ると望みをつなぐ。その
きざしはまだかすかだが見えてきた。兵庫県宝塚市のお客さんからは電子メー
ルで「送っていただいた『あきたこまち』を毎日、美味しくいただいてます。
本物は美味しいですね。良く行く割烹でのご飯があまりにもおいしいので板前
さんに聞いたところ、無農薬で食べる直前に精米した米を使うこと、また炊飯
前30分の浸しおき、炊飯後20分で食べ始めること等と教わりました。柳田
さんのお米を頂いてから、割烹のご飯に近くなりました。また母も大変、喜び
『こんな美味しい米を食べたのは30年ぶり』と感謝しております」とのお礼
も来た。「こんなメールやお礼の手紙をもらったら止められないね」と柳田さん。
無農薬栽培をしているせいか柳田さんの田んぼには赤とんぼやバッタなど秋
になると昆虫がいっぱい飛び回ると言う。「おばこネットから家の田んぼや
ホームページが紹介されていろんな方に見てもらえたら嬉しい。今はまだ怖く
てアクセスカウントも付けてないんです」と娘の美穂子さんは笑った。柳田さん
も「うちのホームページを見て遠くから栽培地の田んぼを見たいと言う人が出
てきたら歓迎したい」とホームページからのお客さんの訪問に期待する。
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