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CPM (critical path method)

クリティカルパス法 / 限界工程管理手法


 工程計画・管理手法の1つで、大規模な仕事における各作業工程をネットワーク図に表してクリティカルパス(※1)を分析することにより、最小の投資額で所定期間内に計画が完了する最適解(スケジュール、追加投資の意思決定)を求める手法。

 一般に仕事を早く完成させるためには、追加的なコストが発生する。各作業の標準所要期間を短縮するのに要する追加コストの増加率が与えられたとき、その関係は線形で表すことができる。CPMの基本的な考え方は、仕事全体の所要時間を決定しているクリティカルパス上の作業のうち、作業の集合(カット)ごとに工期短縮に伴うコスト増加の関係を繰り返し求め、追加費用が最小となるような工程計画を算出するというものだが、プロジェクトが複雑な場合には定式化された線形計画問題(離散変数の最適化問題)をコンピュータで解くのが一般的である。

 歴史的には1958年ごろに、E・I・デュポン社が化学プラント建設に際して、コスト最適化を目的に開発された。1950年代半ばにデュポンのモーガン・R・ウォーカー(Morgan R. Waler)とレミントンランドのジェームズ・E・ケリー(James E. Kelly)が建設工事のスケジューリングにコンピュータを応用する研究を行い、1957年末に概念的なアルゴリズムを完成、翌年、ケンタッキー州ルイビルの化学プラント建設のスケジューリングに適用されて成果を示した。当初、「ケリー・ウォーカー・ネットワーク法」といわれていたが、やがてクリティカルパス法(CPM)と呼ばれるようになった。

 CPMという用語は狭義には上述の線形計画法を用いた手法をいうが、単にクリティカルパスを用いたネットワーク技法の意味で使われることもあり、多少の混乱が見られる。

(※1)クリティカルパス

critical path / 最長経路 / 臨界経路


 生産工程やプロジェクトなどで、お互いに従属関係(前工程が終わらないと次工程に進めないなど)にある複数の作業のうち、開始から終了までをつなぐ時間的余裕のない一連の作業の集まりのこと。工程全体/プロジェクト全体の所要期間やリードタイムを決定する。

 プロジェクト・スケジュールをネットワーク図で表現したとき、プロジェクト全体の作業開始から終了までをつなぐ、まったく遊び時間のない経路が少なくとも1本できる。この最長経路がクリティカルパスである。

 クリティカルパス上にない作業は、遅れが出ても余裕(フロート)の範囲内であればプロジェクト全体のスケジュールには影響しない。しかしクリティカルパス上の作業が遅延すると、プロジェクト全体の納期を遅らせてしまうことになる。逆にクリティカルパスが短縮できるとプロジェクト期間も短縮できる。このため、生産管理/プロジェクト管理においては特に重要な管理対象である。

 また、業務やプロジェクトのプロセス以外に、半導体プロセッサの回路においても、最も長く信号の伝送遅延が大きい配線経路をクリティカルパスという。マイクロプロセッサの性能は、クリティカルパスに沿う命令を実行する時間で規定される。

 これらが転じて、俗にそれが止まればすべてが止まってしまうもの、仕事やプロジェクトの成否を決定的に左右するリスク要因といった意味で使われる場合もある。

 なお、医療・介護・福祉分野でも、検査・治療・入院などの計画を明示的にして在院日数短縮や患者の安心感を得る手法として応用されており、これはクリニカル・パス、ケア・マップともいう。

 
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