しっかりかんでご飯を食べよう!!


 毎日朝食をしっかり食べていますか?朝ごはんは一日元気に活動するためのエネルギーとなります。必ず食べてから登校するようにしましょう。
 そしてもっと大事なのが、「しっかりかんでごはんを食べる!!」ことです。どうしてしっかりかむことが大事なことなのでしょうか。その理由は次のようなことにあります。


【消化吸収を助ける】
 ごはんを食べると大部分は、胃や腸の中で消化吸収という働きが行なわれますが、じつは口の中にもそういう働きがあるのです。食事の時、ごはんをゆっくり20〜30回かんでいると、だんだんとろ〜としてきて甘くなってきた経験はないでしょうか?これは唾液の中に含まれる「アミラーゼ」という消化酵素の働きで、ごはんの中のでんぷんが糖分に分解されて、私たちの体のエネルギーとして吸収されやすいように変化したためなのです。
 さらに食べ物をよくかんで細かくすると、食べ物が胃液に触れる面積が多くなって、胃や腸が楽に栄養を吸収できるようになります。食事を効率よく体のエネルギーとするために、よくかむことが大切なのです。
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【虫歯や歯肉炎を防ぐ】
 虫歯や歯肉炎は「プラーク」が原因で出来てしまいます。よくかむことによって、食べ物自体が歯の表面とこすれることによってプラークが掃除されてきれいになっていくのです。自浄作用といいます。特に、かみ応えのある食べ物や野菜などのせんい質が多い食べ物は、歯をきれいにする効果が大きいのでしっかりかんで食べましょう。でも、この効果も歯の表面全体に期待できるわけではありません。歯頚部・隣接面・裂溝部などはあまりきれいにならないのです。シチューやスパゲティーのように柔らかくてどろどろした食べ物はあまりかまなくても飲み込めてしまうので、歯の表面はきれいになるどころかプラークがかえっていっぱいついちゃうことになります。
 「オカアサンハヤスメ」あるいは「ハハキトク」 という語呂(ごろ)合わせを聞いたことがありますか?このことばは子供たちが好きな食べ物の頭文字を並べたものです。

オムレツ       ハンバーグ
カレーライスハムエッグ
アイスクリームギョウザ
サンサンドイッチトースト
ハンバーグクリームシチュー
焼きそば 
スパゲティー
目玉焼き


 これらの食べ物は、どれも軟らかくてよくかまなくても飲み込めてしまうものです。歯をきれいにして虫歯を防ぐという面から見ると、あまり効果的ではない食べ物です。
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【顎の発育を良くし、歯並びをきれいにする】
 原始人の顎の化石を見たことがありますか?顎が十分に発達して角ばっています。それに比べて、現代人は顎の発育が弱くて、面長のほっそりした顔立ちの人が多くなりました。いわゆる「エラの張った顔」をしている若い人が少なくなったようです。これは食べ物が軟らかくなって、あまりよくかまなくなったことも影響しているといわれています。人間の体は筋肉でも骨でも、普段からよく鍛えておかないと十分に発達しないようになっています。顎が十分に発育しないで小さいままだと、歯がきれいに並ぶだけのスペースがなくて、歯並びが悪くなってしまうのです。


   【ガンを予防する】
 よくかむことによって、唾液がいっぱい出ます。唾液の中にはいろいろな成分が含まれていますが、その中に「ペルオキシダーゼ」という物質があります。このペルオキシダーゼは私たちの体にガンを引き起こす物質(発がん物質)の毒性を抑える働きがあります。唾液には他にもいろいろな働きをする物質が含まれています。
 
ペルオキシダーゼガンになるのを抑える
パロチン骨や筋肉を丈夫にする
アミラーゼでんぷんを消化する
ムチン粘りけの成分
リゾチーム殺菌作用


 手にちょっとしたすり傷を作ってしまった時など、なめたりつばを塗ったりする事はありませんか。これは「リゾチーム」の殺菌効果を期待しての、理にかなった行為なのです。
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【頭がよくなる(知能の発達)】
 ネズミを使って実験した人たちがいます。硬いえさをかんで食べたグループと粉末状の軟らかいえさを食べたグループに分けて、迷路の通過実験をしました。その結果硬いえさを食べたネズミのグループの方が、失敗の回数が少なく迷路を早く通過したそうです。これは、粉末状のえさでよくかまなかったネズミの脳は血液の循環が悪く、脳細胞の活動も低下して発達が遅れたためと思われています。人間とネズミではちょっと違うかもしれませんが、気になりますね。
 また、幼稚園の子供のかむ力と知能の関係を調べた研究もあります。それによると、かむ力の強い子ほど図形テストの成績がいい傾向が見られたそうです。


【肥満を予防する】
 あまりよくかまずにでガツガツ食べていると、いっぱい食べてしまい太りやすくなってしまいます。私たちが食事をすると、消化された糖分が血液中に入り、脳の満腹中枢という所を刺激します。ここが刺激を受けると満腹感が得られ、おなかがいっぱいになった気分になるのです。よくかんでゆっくり食べることにより、あんまり多く食べなくても「ああ〜、もうおなかがいっぱいだ。ごちそうさま!」という満足感が得られるのです。
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【視力をよくする】
 かむ力と視力の関係を調べた研究によると、「硬い食べ物を好む人や、虫歯の少ない人ほど視力がよい。視力の低い人のかむ力は弱い。」ということが明らかになりました。つまりいつもよくかんで食べている人ほどかむ力が強くなり、水晶体を動かす筋肉にもよい影響を与え、視力がよくなるということのようです。


【顔の表情を豊かにする】
 私たちは楽しかったり悲しかったりすると、その時の気分に合わせたいろいろな表情を作ることが出来ます。これは顔の皮膚の下にたくさん付いている表情筋と呼ばれる小さな筋肉の働きです。よくかむことによってこれらの筋肉の動きが活発になり、いろいろな豊かな顔の表情を作ることが出来ます。
 最近、普段からポカンと口をあけている若い人が増えてきたと言われています。この原因も、しっかり噛んで口の周りの筋肉を鍛えることが少ないためだと考えられます。
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【情緒を安定させる】
 人間が宇宙飛行をするようになった初期の頃、宇宙食はペースト状のものをチューブから吸い取って食べていました。ところがこういう食事だと全く咬まずに食べられる代わりに、「食べる満足感が得られずにストレスがたまる」と宇宙飛行士から苦情が出たそうです。しっかりかんで食べることは、心を安らかにする働きがあるのです。
 また、精神病院に入院している患者さんや、少年院に収容されている少年たちの食事は、総じて早食いだといわれています。心を病んでいる人や、非行で心が荒れている人には、ゆっくりと食事を楽しんで食べるゆとりがないようです。みんなで楽しく味わって食べる食事は、私たちに安らぎを与えてくれるのです。ちなみに現在の宇宙食は地上とほとんど同じ物を食べれるようになっています。


 以上のように、よくかむ事はいろいろな思いがけない健康上の効果を私たちに与えてくれることがわかってきました。ごはんをひと口含んだら30回はかむようにするのが理想的だといわれています。
 みなさんも今日のからしっかり噛んで「こめかみ」を鍛えましょう。
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